プロトン移動反応質量分析計シリーズ

概 要

Innsbruck大学イオン物理研究所のスピンオフであるIonicon Analytik GmbHが製造するプロトン移動反応質量分析計(PTR-MS)は、ヒドロニウムイオンH3O+によるプロトン移動反応を利用した オンラインの化学イオン化質量分析計の一種で、種々の揮発性及び半揮発性有機物のリアルタイム測定に幅広く使用されます。 選択反応剤イオン化質量分析計(SRI-MS)とは、 切換え可能一次イオン源オプション(SRI/SRI+)を搭載したプロトン移動反応質量分析計の別称であり、一次イオンをH3O+以外にNO+及びO2+等に供用中、切換えて使用することで測定対象化学種の拡大が可能です。 非線形性が強い大気圧化学イオン化法(APCI)等と異なり、PTR-MS及びSRI-MSは絶対濃度測定法を採用しており、標準ガスの得られない物質であっても±30%程度(一次イオンがH3O+の場合)の 不確かさの範囲内での定量が可能です。また飛行時間型質量分析計(TOF)の搭載が主流であり、ppq(ppq=10-15)レベルの検出限界を達成する超高感度な特性と合わせて、例えば呼気のブレスバイブレス分析 あるいはレトロネーザル測定に代表される多成分同時・高時間分解能測定が実際上可能な唯一の装置となっております。 基本的には分子式までの同定による定量分析あるいはモニタリング主体の装置で、GC-MSで捉えられない過渡的あるいは変化の速い過程やプロセスの挙動を追跡あるいは解析する際の最も強力なツールとなりますが、 高速GCオプションにより定性機能も強化できます。また簡便さを利用して試料の特性化、スクリーニングやメタボロミクスにも使用されます。

◆ 原 理

右寄せの画像

PTR-MSは右に示すプロトン移動反応を利用してイオン化、質量分析を行います。SRI-MSではプロトン移動反応に加え、NO+によるヒドリド引抜反応(アルデヒド、脂肪酸等)、 電荷移動反応(ケトン、エステル等)またはNO会合反応(アルカン)、O2+、Kr+またはXe+による電荷移動反応が利用可能です。 PTR-MSはアルカン、エチレン、アセチレン及びハロアルカンを除く揮発性・半揮発性有機物、及び硫化水素、ホスフィン等の一部の微量無機ガスが測定対象となります。 NO+によるイオン化では選択性の向上とアルカンの測定が可能となります。O2+またはXe+による電荷移動反応ではアンモニア、エチレン、アセチレン、ハロアルカンが測定可能となります。 Kr+は多くの無機ガスも測定対象となりますが、有機物ではフラグメンテーションが顕著となります。 マスフィルタを使用し、キャリアガスが必要な類似技術と異なり、ホローカソード放電のみにより高純度の一次イオンを大量に生成する独立したイオン源、及び制御された反応場を提供する ドリフトチューブが、PTR-MS/SRI-MSの比類ない特長を生む重要な構成要素となっております。大過剰の一次イオンにより擬一次反応条件が成立し、右の式で濃度が表され、 原理的に直線性が保証された速度論的絶対濃度測定法となります。しかもプロトン移動反応の場合、反応速度定数が有機物の種類にほとんど依存しません(典型値2×10-9 cm3/s)。


◆ 特 長

◆ 試料前処理なしの直接オンライン分析で、簡便かつ迅速に測定できます。
◆ リアルタイム測定が基本で、100 ms以下の速い応答時間の特性を示します。
◆ 実用上最もソフトなイオン化で(H3O+の場合)、フラグメンテーションがないかもしくは少ないです。
◆ 類似技術と比べて感度が3〜4桁以上高く、高感度機種では最小検出限界1 ppt以下の超高感度です。
◆ 直線定量範囲が5桁半〜6桁半以上と広く、しかも極めて直線性に優れます。
◆ 速度論的絶対濃度測定法であるため、標準試料による較正なしでも定量が可能です。
◆ TOF搭載版が主流であり、典型的には1秒でpptレベルの多成分同時測定が可能です。
◆ 全機種シーケンサ搭載で、ラボラトリーオートメーションから工業プロセス管理まで対応します。
◆ ユーティリティは電力のみで(H3O+及びNO+場合)、可搬性を備えます。


詳細データはこちら

◆ 用 途

環境・大気 大気観測、光化学反応研究、VOCフラックス測定、汚染源特定、室内汚染調査
農学・自然科学 植物生態学研究、菌類研究、海洋調査
食品・香料 食品特性化、食品開発、製造プロセス開発、品質管理、香気成分解析、香料開発
自動車 自動車シャシーダイナモ試験、車室内VOC調査
化学・化学工業 化成品開発、化学物質管理、漏洩管理、敷地境界線モニタリング、燃焼診断、プロセスモニタリング
材料 不純物調査
半導体・電子・電機 クリーンルームモニタリング、品質劣化原因調査
製薬・生化学 発酵槽モニタリング、薬物動態追跡、微生物管理
医学 呼気診断、代謝応答研究、メタボロミクス
エネルギー 排ガス処理プロセス管理
法科学・保安 法科学分析、爆発物検知、違法薬物検知
その他理工学研究 物理化学定数測定

製 品

プロトン移動反応四重極インタフェースTOF質量分析計

PTR-QiTOF


高質量分解能と超高感度を両立した異次元の性能のシリーズハイエンド機で、あらゆる現象世界を垣間見ることができます。
感度     1,500〜4,500 cps/ppbv
最小検出限界 1 pptv以下(ジクロロベンゼン、30秒積算)
質量分解能  6,000以上(最高12,000)

カタログPDFファイル(5.2MB)

コンパクト高感度プロトン移動反応TOF質量分析計

PTR-TOF 1000 ultra


質量分解能新開発技術のイオンブースターファンネルを搭載したコンパクトなPTR-TOF 1000の高感度版です。
感度     500〜1,000 cps/ppbv
最小検出限界 5 pptv以下(トリクロロベンゼン、1分積算)
質量分解能  1,500以上

カタログPDFファイル(16.4MB)

普及版プロトン移動反応TOF質量分析計

PTR-TOF 1000


1,500以上高感度QMS搭載版HS PTR-QMS 500同様の簡便さで、工業用途にも向くTOF搭載シリーズの普及版です。
感度     40〜100 cps/ppbv
最小検出限界 10 pptv以下(トリクロロベンゼン、1分積算)
質量分解能  1,500以上

カタログPDFファイル(5.1MB)

高感度版プロトン移動反応質量分析計

HS PTR-QMS 500


直接オンライン測定の定番の地位を築き上げたQMS搭載シリーズの中心機種で、シーケンシャル測定では
最高感度を提供します。

感度     300 cps/ppbv以上
最小検出限界 1 pptv以下(ベンゼン、1分積算)
質量数範囲  1〜512

カタログPDFファイル(19.0MB)

コンパクトプロトン移動反応質量分析計

PTR-QMS 300


プロセスモニタリング中心のコンパクトなQMS搭載シリーズの機種で、シーケンサ搭載等の全ての基本機能が備わります。
最小検出限界 300 pptv以下(ベンゼン、20秒積算)
質量数範囲  1〜300

カタログPDFファイル(7.9MB)

切換え可能一次イオン源オプション

SRI/SRI+


適用反応を切換えて検出化学種範囲を拡大するPTR-MSの内蔵オプションで、搭載装置を総称してSRI-MSとなります。
SRI    NO+(イオン化エネルギー9.3 eV)、O2+(イオン化エネルギー12.1 eV)追加   
SRI+  Kr+(イオン化エネルギー14.0 eV)、Xe+(イオン化エネルギー12.1 eV、O2+代替の防爆用途)追加

カタログPDFファイル(7.4MB)

高速GCオプション

FastGC


抵抗加熱方式を採用したPTR-TOFシリーズ専用内蔵オプションの高速GCで、オンラインモードと切換えてのトリガーサンプリング 、GC-PTR-TOF測定を可能とします。
分析時間   1分以内
昇温速度   1,800℃/min
冷却速度   1,800℃/min

カタログPDFファイル(7.3MB)

鼻腔内呼気サンプラー

NASE


通常の呼吸を継続しながら、喫食時のレトロネーザルアロマのブレスバイブレス分析が可能となるサンプリングユニットです。
120℃までの保温でコールドスポットなしにPTR-MSに導入
不活性材料の使用による吸着防止

カタログPDFファイル(4.0MB)

終末呼気サンプラー

BET


血中濃度と平衡する終末呼気濃度を測定可能とする呼気中代謝物質等のブレスバイブレス分析用のサンプリングユニットです。
終末呼気期間を10秒間に延長してサンプリング
ディスポーザブルマウスピース使用
ISO60601適合品も供給可能

カタログPDFファイル(6.3MB)

その他附帯機器

マルチインレットシステム、希釈システム、連続式・バッチ式粒子前処理装置等を供給します。
詳しくはお問い合わせ下さい。

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